日本語の表記について
参考文献:高島俊男『漢字と日本人』文春新書、2001年
1.現在の日本語表記の問題点
明治以後に大量につくられた翻訳語と第2時世界大戦後の国語改革によって、現在の日本語はいびつな状態にある。 文字をみても発音がわからない単語や耳で聞いてもとっさに意味のわからない単語が日本語のなかにあふれている。
1.1.常用漢字表の問題点
常用漢字表の問題点はこの表にかかげられている漢字だけしかつかえないことになると、日常よくつかわれる単語を漢字で表記しようとするときにいろいろと不都合な点のあることだ。いくつか例をあげよう。
「愛嬌」の「嬌」は表外字なので用字用語辞典では「愛敬」と表記することが推奨されている。しかし、「敬」という漢字は通常「けい」と読むのに、 「愛敬」を「あいきょう」と読ませるのは少し無理があるとおもう。むしろ、「嬌」の右半分は「橋」や矯正の「矯」のように「きょう」という音をあらわしているので、「嬌」という漢字をつかったほうがいい。「男は度胸、女は愛嬌」ということわざもあるので、おぼえやすいという利点もある。
「愛撫」の「撫」も表外字なので、「やさしくなでる」という表現をつかうことが推奨されている。しかし、「やさしくなでる」で、「愛撫」という単語
のもつニュアンス(特にエロチックな部分)を表現できるだろうか。「撫」という漢字はてへんでこの字が手に関係のあることをあらわし、右半分の「無」で発音をあらわしている。
2.これからの日本語表記の原則
本来漢字は中国語を表記するためにつくられた文字であり、中国語とはまったく系統のちがう日本語を表記する際に漢字をつかう必然的な理由はない。だが、現在の日本語の語彙には大量の漢語(「表記」のように漢字を音読みする単語)があり、漢字の使用をやめると同音異義語の区別をすることができないので、現時点では漢字の使用を完全にやめることはできない。そこで、次のようにすることを提案したい。
漢字の使用は必要最小限度にする。漢字は原則として漢語の表記に使用し、和語(本来の日本語、「書く」のように漢字を訓読みする単語)はひらがなで表記する。ただし、一音の和語を表記するとき、および、同音異義語を区別する必要のあるときは漢字を使用する。
使用する漢字についてはその文字をみただけで意味と発音がわかる字体をつかう。したがって、必要に応じて旧字体を復活させる。
さらに、外来語をうまくつかって、同音異義語をへらす努力をする。
3.改革の具体例
4.今後の国語教育のありかた
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